創作するということ「不安と恐怖」

☆漫画を描こうとするとき、アイデアを出すとき練るとき
……私の体感では「左脳」が邪魔をしますね。

「左脳」はいろんなことを心配し、いまやるべきこと、ではなく
これから起きる可能性のある危険や苦難に対処すべく働いてくれますが
こいつが「単純に描く」ことを困難にしてしまいます。

○こんな作品だれが読むんだろう
○上手く描けないかもしれない
○私に才能なんてない
○描いたところで出版なんかされないかも
○このアイデア もう他の人が描いてしまっているかもね
○恥かくのはイヤ!

「なんとなくヤル気がでない」「今日は描くのやだな」
「創作するヒマないよ、ほら、あれをやっておかなきゃ!」
…などなど 創作する心になれないときって多々ありますが
つきつめてゆくと「左脳」が作り出す恐怖が原因だと
思います。

ありとあらゆる心配と疑心暗鬼を作り出す左脳に
ちょっと黙っててもらわねばなりません。

それには「単純作業」が有効ですね、私の経験では。

東京時代は「歩くこと」が私にとって
左脳を黙らせる有効手段でした。
歩くことに集中していると
余計な心配は少しずつ薄れていって
やがて「右脳」が活発に動き出しました。
午前中から歩き回って ときどき喫茶店で休憩なんかして
…すると突然「ぱっ!」と灯りがついたように
16pの漫画の最初から最後までがすべて思い浮かぶのです。

現在は北海道で暮らしているので
真冬は 単純に歩く ということが出来ません。
道路は凍り付いてツルツル 危険がいっぱい!
「左脳」さんが活発に働いてしまいます。

いま有効手段として活用しているのが
「なんちゃって お習字」
アナログならネーム用紙に筆ペンで
パソコンと漫画製作ソフトを使ってもいい感じです。

丸っこい字で下手に書く…のがいいみたい
誰に見せるわけでもないし 上手く書く必要もないし
あらかじめ「書き終わったらこれは捨てるからね」と
「右脳」に約束しておくことも大切です
「右脳」からプレッシャーをはずしてやるんです。
「左脳」が
「そんな無駄な作業してる時間ないよー」と
と騒いだりしますけど
ここは無理矢理黙らせます(きっぱり!)

思いつく言葉を たんたんと書いてゆくと
「左脳」はだんだん飽きてきておとなしくなりますね。
そして 書くことによって「右脳」が喜びだします。
何十枚も書きます。
そのうちアイデアとか ヤル気 が
ぽんっ!と出てきます。

問題は「いつアイデアが出るのかは わからない」こと
でしょう。
次の瞬間!かもしれないし また明日、かもしれない。
ただ、この単純な作業によって
「右脳」を喜ばせてやるってことはまちがいなくできます。
「右脳」を喜ばせ 安心させてやるのは
創作者にとって たいへん良いことです(だとおもいます)

白い紙に向かうのが恐いと思うとき
最初の1行が書き出せないとき
私は この手をつかって「左脳」を黙らせ
「右脳」のご機嫌をとります。

偉大な画家達が毎日デッサンをする
どんな高名なバレリーナも毎日バーレッスンをする
それは技術を磨く、ためでもあるし
恐怖や不安を乗り越えるためもあるんだと思います。